もの寂しい初冬の夕暮れ時、秋山先生ご逝去の報に接しました。驚きもさることながら、深い悲しみと惜別の情を禁じ得ません。つい十数日前、アジア太平洋吹奏楽指導者協会(APBDA)のオンライン会議にて、2029年の大会を日本で開催し、先生の百寿をお祝いしたいと語りあっていたばかりでした。今となっては、それも叶わぬ夢となってしまいました。
先生はその輝かしいご生涯において、日本で吹奏楽の普及に尽くしたのみならず、その成功の経験を余すところなくアジア各国へと伝えてくださいました。台湾も1980年代より先生のお導きにより吹奏楽協会を設立し、国際的な活動に邁進してまいりました。APBDA大会の度重なる開催ならびにて2011年の世界吹奏楽協会(WASBE)大会の開催は、ひとえに先生のご助力あっての結実であります。台湾の吹奏楽に携わる者は皆、先生を「台湾吹奏楽の父」として崇敬しております。
2000年の春、台北にて先生の古稀のお祝いを催した折、私は先生の御名を冠した「蔵頭詩」を詠んで捧げました。二十数年を経た今、万感の思いでその詩を振り返っております。
秋月皓皓照人間
山岳巍巍景仰賢
紀元管樂自君始
夫子諄諄誨長綿秋月皓皓として人間照らし
山岳巍巍として賢を景仰す
紀元の管楽君より始まり
夫子諄諄として誨え長綿たり秋の月は白く輝き世を照らし
高くそびえる山のごとき賢人を 私たちは深く敬う
吹奏楽の新時代は あなたから始まった
先生の丁寧な教えは 永く続いていく
師の恩を肝に銘じ、教えを深く守り抜く所存です。
秋山先生、どうぞ安らかにお眠りください。
2025年12月16日
アジア吹奏楽指導者協会(APBDA)名誉会長 葉樹涵





